今日はカナダ西海岸、ブリティッシュコロンビア州に留学される方(ワーホリ含む)向けの記事です。
海外に行く=数十万円する留学保険に加入必須!と思っている方が多いのですが、ここカナダのBC州では基本的に医療費が無料です。
すぐお隣の国、アメリカの高額な医療費のイメージと混同されることが多々ありますが、国や州によって医療制度が大きく変わります。
自分の選択肢を知ろう
海外医療保険の種類や選択肢を知って、保険会社や留学エージェントによる広告だけに惑わされず、本当に自分が必要なものに加入しましょう。

カナダに留学 or ワーホリに行きたいけど、保険料が高いなぁ…!
そんな方へ有益になるような情報を、現地在住者がシェアします。この記事は、現役カナダ人医師(Medical Doctor)監修です。
カナダのBC州ってどこ?
カナダの太平洋側に位置する州。バンクーバーやビクトリア、ケロウナなど、カナダ内では温暖な気候で留学に人気です。BCはブリティッシュコロンビア州の略。
政府医療保険MSPとは

みなさん、Medical Services Plan、通称MSPはご存知でしょうか。
日本では知名度が低いですが、
BC州政府の公的保険制度です。MSPは簡単にいうと、日本の健康保険のようなもの。
現地の人(カナダ人)が全員加入している医療保険です。

私もバンクーバーへ渡航した際、5bucksおじさん(元同僚のカナダ人)に教えてもらって加入したプランです。


カナダでは超有名やで。僕の学校でも多くの留学生がコレに加入してる。
このMSPに加入(無料)すると、原則として「患者の自己負担が一切なく、全てを税財源が負担」と、カナダのBC州では医療制度がとても充実しています。
MSPカードとは
こちらが実際のMSPのカードです。
画像のような免許証サイズのカードが発行され、このカードを持ってクリニックに行くと医療費が全額カバーされる、というもの(歯科治療や薬代など一部対象外)。




薬のアレルギー発作で息ができなくなり、夜中3時にタクシーで救急外来へ行った時も治療費無料でした!
カナダ人は加入必須である政府の保険ですが、実はワーホリや学生ビザでも加入が可能なんです。※観光ビザや短期滞在の方は加入することができません。
MSPの保険料
ここ数年、MSPは保険料の改定が数回行われています。滞在資格によって保険料は変わります。
※ワーホリ/ ワークビザ/ 永住権/ 市民権など
つい最近まで保険料は月々$37.5(日本円で約3,000円ほど)でした。
ですが、嬉しいビッグニュースが…!
ワーキングホリデービザ/ ワークパーミット/ 永住権/ 市民権を持っている人にとっては、かなり嬉しいニュースですね!
しかし、Study permit(学生ビザ)を持っている留学生のみ$75になることに。それでも日本円にすると6,000円程度なので、一般的な保険に比べるとリーズナブルです。
MSPの保障内容
無料というと、でも保障内容が不安では…?と思いがちですが、MSPは完全に「カナダ人と同じ保障内容」です。基本的に病院やクリニックで必要となる医療費は全てカバーされます。
MSPでカバーされるもの
通常の受診・治療
利用する頻度がおそらく一番高い、風邪をひいた・頭痛がする・腹痛がある・熱があるなど、体調が悪い時のクリニックでの受診は無料です。MSPカードを提出すると受診後のお会計がありません。
救急外来
救急外来・救急クリニックの診療であっても無料です ※救急車を利用する場合は$80(約7,000円)です。
入院や手術
事故や病気になり手術や入院が必要な場合でも、医療費がカバーされます。大掛かりな手術でも、糖尿病治療もガン治療も対象です。
産科での診察や出産
妊娠出産で必要な診察、出産費用もカバーされます。助産師費用や帝王切開の手術が必要な場合でも適応されます。
コロナによる受診・治療・入院
コロナウイルスにかかった場合でも、必要な受診費・治療費・入院費がMSPでカバーされます。
MSPでカバーされないもの
虫歯などでの歯医者受診
街の歯医者を受診する際はMSPは適用されません。ただ事故などで歯や顎の手術が必要になり、病院の口腔外科を受診する場合は無料になります。
必須ではない治療費
美容整形やレーシック(視力矯正)などはMSPを使うことができません。
お薬
原則薬代はMSPではカバーされません。処方箋を持って薬局へ行き薬を受け取りますが、その際に薬代のみ実費で支払います。
救急車・救急ヘリの費用


基本的な医療費は全て「無料」になるMSPですが、救急車や救急ヘリコプター利用時の費用に関してはイレギュラーです。
特にMSPに加入していない場合、かなり高額になってしまうため注意が必要です。
MSPのメリットとデメリット
MSPのメリット
無料、または格段に安い
1番の魅力である保険料。原則無料で一般的な医療費が全額カバーされます。
カナダで一番有名なので安心
何と言っても政府の保険。カナダ人は加入必須なので、カナダで知らない人はいません。病院側も100%知っているので面倒な説明やトラブルもありません。
立て替えて支払う必要なし
民間保険でよくある「一度は自分で立て替えて支払うスタイル」では、診療時に多額の支払いが必要になることも。MSPの場合はキャッシュレスなので診療後に支払いがありません。
MSPのデメリット
医療保険なので盗難などは保障外
MSPは医療保険なので、盗難や損害賠償などの保障は含まれません。あくまで医療。病院やクリニックでのみ使える保険です。
申請に条件がある
費用を払えば加入できる民間保険とは違い、ビザの残りの期間、BCに住所があることなどの条件付。
手続きが英語のみ
オンライン申請は英語のみになります。ただ日本語の解説があるので難易度は低めです。
民間保険に要注意
「海外留学 保険」「ワーホリ 保険」などと検索すると、たくさんの情報が出てきますよね。
しかし内容は高額なものが多くて、
保険料20万〜50万/年 はザラにあります。
はっきり言って広告目的のブログだったり、保険会社の宣伝もかなり多いです。
留学エージェントから勧められて高額の保険を契約… という方も多いです。本当に必要かを自分で見極めることが大切。
ここでは、民間保険が悪いと言っているわけではありません。それぞれにメリットとデメリットがあります。




この記事の目的はあくまでも「自分の選択肢を知ろう」というものです。
民間保険のメリットとデメリット
民間保険のメリット
盗難や損害賠償をつけることができる
滞在先の物を壊してしまったり、盗難の被害にあった時に保障があるプランに加入することができます(MSPの場合は”医療”保険なのでこのような保障は一切ありません)。
日本語通訳サービスがある場合も
こちらもMSPにはないサービスです。
民間保険のデメリット
加入料が高額
とにかく高い。この一言に尽きます。
立て替えが必要な場合も
当日、診察料を自分で立て替えて支払い、後日保険会社より返金されるスタイルなので、診療時に多額の支払いが必要になることも。
現地の学生医療保険
現地の学生医療保険で有名なものに Guardme(ガードミー)やJF(ジェーエフ) があります。
一日単位で取れる医療保険です。語学学校やカレッジ、大学に通っている方で、この現地保険に入っている方も多いかと思います。
現地の学校を通して申し込むと1日2〜3ドルの保険料が多く、学生ビザの場合MSP(月$75)よりも安くなることもあります。
領収書を取っておいてオンラインか郵送で申請し、後からお金が支払われる仕組み。キャッシュレスではありません。
学生医療保険のメリットとデメリット
現地医療保険のメリット
学校が申し込みを代行してくれる
申し込みはオンラインで可能ですが、英語になります。Guard meやJFと提携している学校も多く、その場合は代行してくれるため、安く簡単に加入することができます。
日本の民間保険に比べて安い
こちらも民間保険に比べると保障内容が薄くなりますが、保険料は大幅に安くなります。
現地医療保険のデメリット
立て替えが必要な場合も
当日、診察料を自分で立て替えて支払い、後日保険会社より返金されるスタイルでは、診療時に多額の支払いが必要になることも。
医療保険なので盗難などは保障外
MSPと同様、Guard meはやJFは医療保険なので、盗難や損害賠償などの保障は含まれません。あくまで医療。病院やクリニックでのみ使える保険です。
保険の比較表
上記にあげた3つ+クレジットカードの付帯保険を比較した表です。
政府保険MSP | 医療保険のみ | 無料 or 約7000円/ 月 | 現地到着後に加入 | 英語で申請 |
---|---|---|---|---|
民間留学保険 | 医療以外も可 | 20万〜50万/ 年 | 渡航前に加入 | 日本語で申請 |
現地医療保険 | 医療保険のみ | 1日200円〜/ 日 | 日本で加入可 | 英語で申請 |
クレジットカード | 医療以外も可 | 無料〜 | 渡航前に加入 | 日本語で申請 |
結論からいうと、おすすめはクレジットカード保険とMSPを組み合わせるタイプ or 学生の場合は学生保険+ MSPです。
それでは、理由を説明していきます。
結論① ワーホリにおすすめの方法
さて、ここで最大限に保険料を節約できるスタイルを紹介します。こちらは学校に行く予定のない「ワーホリだけをする人」へ向けた内容です。
クレジットカード保険 + MSP
(自動付帯タイプ/ 2枚以上)
+
MSP医療保険
このスタイルだと、医療保険料無料を実現することができます。※ワーホリなどのワークパーミットを持っている人に限ります。語学学校やカレッジに通う方は②の方法を参照してください。
この方法の申請手順
- STEP1クレジットカード海外保険を作る日本にいる間に90日保障されるクレジットカードを作る
【海外保険充実】留学にオススメのクレジットカードを参照してください。 - STEP2カナダに渡航カナダ(ブリティッシュコロンビア州)に入国
- STEP3MSP申請オンラインでMSPに申請する(申請ページ)
- STEP4MSP待機期間カナダ到着日より2-3ヶ月は待機期間
クレジットカード保険が有効となっています - STEP5MSPゲットMSPが有効になります
仮にクレジットカード保険が切れる90日に間に合わない場合、その時点でGuard meなどの1日単位の保険に入ることも可能です
注意事項
何度も書いていますが、クレジットカード保険が切れる90日後以降はMSPの「医療」保険が適用されます。クレジットカードの補償である、盗難などはカバーされません。
また、念のためクレジットカード会社より証書を発行してもらいましょう。入国時や学校で提出を求められることもあります。
結論② 留学におすすめの方法
このスタイルは語学学校やカレッジへ通学予定の方におすすめの方法です。語学学校へ通学後ワーホリをする予定の人にも、この方法がオススメです。
ほとんどの語学学校・カレッジ・大学が「学生医療保険」との提携をしています。学校入学申込みと同時に手配ができ、また学生期間中は通常よりも安く加入できることが多いです。
学生医療保険 + MSP
+
MSP医療保険
まずは学生医療保険に加入、カナダ入国後すぐにMSPを申請して、待機期間は学生医療保険でカバーします。
この方法の申請手順
- STEP1学生医療保険に申し込む語学学校やカレッジ申し込みの際、学校指定の学生医療保険に同時申し込みをする
- STEP2カナダに渡航カナダ(ブリティッシュコロンビア州)に入国
- STEP3MSP申請オンラインでMSPに申請する(申請ページ)
- STEP4MSP待機期間カナダ到着日より2-3ヶ月は待機期間
学生医療保険が有効となっています - STEP5MSPゲットMSPが有効になります
仮に学生医療保険が切れる前にMSPカードが届かない場合、その時点で学生医療保険延長ができます
MSPについて、ひとこと…
MSPはカナダで知名度の高い保険ですが、日本人にはまだまだ知られていません。州政府医療保険MSPの存在を知らず、医療保険に大金をかけている人が多いので、今回記事にしました。
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